
2001年9月10日に発表されたPat Costnerの最新の報文"塩素、燃焼とダイオキシン(http://www.greenpeace.org/~toxics/reports/chlorineindioxinout.pdf)", は、塩素全般を、特に塩ビの信用を、失墜させようとする新しい試みである。塩素含有量とダイオキシン排出量の関係に関するこの"最終的"解答は、余りにも偏向に満ちた報告であり、全てのその偏りを明らかにし、そして特に、正反対の主張を証明している部分を(グリーンピースの主張に否定的と証明される範囲を全て)削除している事を明らかにするために、数ヶ月の検討を要した。これは例えば、有機物中の食塩とダイオキシン排出量の関係を否定するため、(現在より、検出限界が数桁も悪い)大変古いデータを使用し、また最悪の場合の塩ビとダイオキシン排出量との関係を証明しようとして、最新のデータを使っているような例である…。そしてもしグリーンピースが使った元の文献を読めば、Pat Costnerが「雑音を取り除いた」報告よりも、ずっと興味深い情報が元の文献にある事が分かると思う。
大規模設備での焼却(家庭ゴミ焼却、医療廃棄物焼却、危険廃棄物焼却: ASMEの報告書を見て欲しい)から判明しているように、塩素のダイオキシン生成への影響は、焼却条件3T…温度、時間、変動(Temperature、Time、Turbulence)…に比べれば遥かに少ない。これはつまり、廃棄物の塩素濃度を大きく変えても、操作条件の僅かな変更より影響が少ない事を意味している。従って、大規模設備では、焼却物中の塩素濃度とダイオキシン排出量の間には、排煙処置装置の前であっても、何の相関も認められない。正の相関を示すデータも負の相関を示すデータも同じくらい存在するのである。グリーンピースは(多重因子の解析に)一次回帰分析を使用していたが、これに反駁することは出来なかった。クロロフィルとグリーンピースとの論争で、グリーンピースのグラフはクロロフィルが正しい事を証明していると私たちが言った後、グリーンピースのサイトにあったそのグラフは、インターネットから消えてしまった。しかし私たちは、そのグラフをこの情報で元通りに回復してお見せする。今度の新しい報告書では、グリーンピースは研究室や試験規模の焼却試験のデータだけを使っている。これらデータは、ダイオキシン生成のメカニズムについて秀れた情報を与えるものであるが、大規模焼却設備で得られるものと、全く同一の操業条件を得る事は極めて困難である。更にダイオキシンの生成は、銅含量、焼却時間、および温度と、直接関連する触媒反応であるため、長時間の焼却と低い焼却温度(200−400℃)では、どんなダイオキシン発生量も起こり得るのである。
廃棄物中の塩ビ、塩素(食塩)、水分、そして/あるいは廃棄物の圧縮状態が、ダイオキシン生成に重大な影響を及ぼす特別な場合がある。これは、裏庭でのドラム缶焼却や、廃棄物埋め立て処理場での自然発火のような場合である。ダイオキシンの生成は、焼却条件が一般に良好である(高温で、圧縮が少なく、また水分も少ない)住宅や倉庫の火災の場合には、より少なくなる。しかし、最悪の条件の場合であっても、ダイオキシン生成量を増やすのは塩素濃度ではなく、ダイオキシン生成量の差を作り出す条件に、塩素が影響しているのである。更にまた、塩ビ/塩素量が増加すれば、PM(粒子状物質:10μmおよび2.5μm)、VOC's(揮発性有機化合物:ベンゼン)、およびPAH's(多環芳香族炭化水素)が減少する。これら後者の物質の方が発ガン性や毒性の点で、ダイオキシンよりも遥かに重要なのである…。
この最新の、ダイオキシン生成における塩素の役割に関する、グリーンピースの報告には、数多くの省略部分が認められる。この省略部分については、このページの最後の章で記述するつもりである。
1. 都市ゴミ焼却炉: |
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元のデータ:排煙中の塩酸濃度(廃棄物の塩素含量の代りに横軸に表示)とダイオキシン測定値(縦軸) |
焼却炉に予測されるような、多重因果関係の解析にふさわしい方法である、多重回帰分析に基づいて、ASME(米国機械工学会)が報告した部分相関係数 |
グリーンピースが、別の焼却炉も選択して、焼却炉の構造(変動)、温度および滞留時間を考慮せずに求めた、単一相関係数… |
2. 医療廃棄物焼却炉: |
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元のデータ:排煙中の塩酸濃度(廃棄物の塩素含量の代りに横軸に表示)とダイオキシン測定値(縦軸) |
焼却炉に予測されるような、多重因果関係の解析にふさわしい方法である、多重回帰分析に基づいて、ASME(米国機械工学会)が報告した部分相関係数 |
グリーンピースが、別の焼却炉も選択して、焼却炉の構造(変動)、温度および滞留時間を考慮せずに求めた、単一相関係数… |
3. 有害廃棄物焼却炉: |
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元のデータ:廃棄物の塩素含量(横軸)とダイオキシン測定値(縦軸) |
焼却炉に予測されるような、多重因果関係の解析にふさわしい方法である、多重回帰分析に基づいて、ASME(米国機械工学会)が報告した部分相関係数 |
グリーンピースが、別の焼却炉も選択して、焼却炉の構造(変動)、温度および滞留時間を考慮せずに求めた、単一相関係数… |
データを見れば判る通り、三種類の大規模焼却炉、即ち都市ゴミ、医療廃棄物、有害廃棄物焼却炉のデータについて、ASMEとグリーンピースの解釈の仕方には、大きな隔たりがある。しかしその全てで、正の相関を示すデータと負の相関を示すデータが存在する。これは疑い無く、操業条件の僅かな変更の方が、塩素含有量の大きな変更よりも、遥かに激しく影響する事を示している…。
種々の塩素含有量と、種々の状況下での、ドラム缶焼却の一連の実験が、Gullet, Lemieux, らによる次の文献で報告されている;"制御されていない、家庭での廃棄物焼却による、PCDD/F(ダイオキシン/フラン)の排出 [62].

このグラフを一見すると塩ビは、廃棄物の銅含量、圧縮率、水分の増加と同じ様に、ダイオキシンの生成にものすごく影響している様に見える。しかし塩素は、…結果として高いダイオキシン排出をもたらす…焼却温度の低下および/あるいは滞留時間の増加を引き起こす、二次的影響力を持つに過ぎない。

TC1−6:焼却廃棄物内および上部の違う高さに設置された熱電対
TS1−4:一定の温度範囲に入っている時間
御覧の通り、塩ビ、塩素、あるいは塩酸などの塩素発生源は、要因から除けるが、やはり高い相関がある。しかし、銅含量、滞留時間、および/あるいは焼却温度は、要因から除外出来ない。これはまた、操業条件および銅含量が遥かに重要な要因であることを、確認するものである。
一連の実験で (ドラム缶焼却を見て欲しい)、ダイオキシンだけではなく、PM、ベンゼン、VOC'sやPAH'sなども測定されていた。その実験から塩ビ含量が多い場合、PM、ベンゼン、VOC、およびPAHの排出量が減っている事が確認出来た。ベンツピレン(BaP)の発ガン性は(一部のラットの系統で)TCDDの20分の1であるため、塩ビ含量の高い実験での排ガスは(これら汚染物質が生体内に取り込まれる限りにおいては)塩ビ含量の低い実験の排ガスよりも、発ガン性が低いものであった。何故なら、PM、PAH、ベンゼンの排出量が、塩ビ含量が高い場合には少なかったからである。今度の新しい実験では、残念ながらVOCとPAHは、測定されていない。
この新しいシリーズの実験では、塩ビを他のプラスチックに入れ替える事で、最悪の場合のダイオキシン排出量を減らすことが出来ているが、PAHの排出量を(これまでの実験でも、塩ビが少ない場合3−4倍なのであるが)、同じ条件下で更に増加させている。ダイオキシンはDNAを損傷せず、極端な場合でのみ発ガンプロモーターとなる。PAHは酸化されるとDNA損傷物質になるため、発ガンイニシエーターである。予防の原則を適用して、他のプラスチックによる塩ビの代替を禁止したらどうなのだろうか?しかしそんな選択をする必要は無い。裏庭での焼却を禁止し(ドラム缶であろうと、焚き火であろうと、またストーブであろうと、廃棄物の焼却を止めるよう国民を教育し)、その廃棄物を全て最新式の焼却炉に持っていかせれば良い。そうすれば、ダイオキシンの排出量は、30,000−120,000分の1になる。しかも何を焼却してもそうなるのである。
これまで実験室で数多くの実験が行われて来た。これら実験で大規模焼却炉と同一条件を再現する事は難しいが、ダイオキシンがどこでどの様に生成するのかについて、これら実験は幾つかの知見を与えてくれる。これら知見は、このサイトの ダイオキシン生成の化学 にも記述されている。特に滞留時間、変動、温度、酸素、塩素、金属の影響は、 研究室での実験.で検討されている。
私たちは、Pat Costnerが引用した文献の全てを持っている訳ではないが、彼女が勝手に削除した極めて興味のある情報を含む、文献を入手している。次に示すのは、彼女の見解と彼女が削除した情報をひとつひとつ比較した例である。一部の実験では、塩素含量とダイオキシン排出量は確かに相関しているように見えるが、ダイオキシン生成にもっと影響するその他の変数(温度、滞留時間、変動および銅の含量)は、全く何も言及されていない。従って大したコメントを付け加えることは無い。
グリーンピースの見解:
"ダイオキシン分子には、2個あるいはそれ以上の塩素原子が含まれており、塩素はダイオキシン生成に絶対必要である。従って塩素が存在しなければ、絶対にダイオキシンは生成しない。"
グリーンピースが削除した事実:
しかし酸素や炭素が無ければ、ダイオキシンは生成しない。酸素を絶つ方法は、焼却に替わる手段(乾溜法)として使われている。そして炭素については、その種類で挙動が異なる。炭化有機物はダイオキシン(およびPAH's)の良い前駆体になるが、グラファイトは前駆体にならない。そして、焼却炉で認められるダイオキシンの生成に必要な塩素量の数百から数千倍もの塩素が、周辺大気中に含まれている。そしてどんな有機化合物にも、ダイオキシンに組み込まれるより数十万から数百万倍も高い濃度の塩素が含まれているのである…。
グリーンピースの見解:
"例えば、(2000年の)Katamiらの研究では、塩ビあるいは食塩と一緒に新聞紙を燃やした場合、図−1に示す様に、塩素含量を減らすと排煙中のダイオキシン排出量が減る事が認められている。"
グリーンピースが削除した事実:
塩素含量とダイオキシン排出量との関係を"証明する"ため、グリーンピースが用いた試験結果は、Katamiらの報告である[63].。しかし、グリーンピースが試験結果から作図したグラフでは、試験データのひとつが削除されていた!この試験は、新聞紙に食塩を浸み込ませ、ポリエチを加えたものであった。焼却物中の塩素含量が3.1%から2.5%に減少しても、ダイオキシン/フラン排出量は同じであった。従って、ポリエチがダイオキシン生成の前駆体であると結論出来る???
グラフの違いを参照されたい:


この試験とその結果の解釈については、更に多くの批判をする事が可能である。:
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| 重油 | 0.0036 | 10800 |
| 新聞紙 | 0.0064 | 4420 |
| ポリエチレン(PE) | 0.005 | 11200 |
| 塩ビ(PVC) | 35.7 | 6240 |
| 木材 | 0.028 | 4200 |
| 焼 却 物 | ||||||
| 重油 | 新聞紙 | 木材 | 新聞紙+NaCl | 新聞紙+NaCl+PE | 新聞紙+PVC | 単位 |
| 54 | - | - | - | - | - | kg 重油 |
| - | 55 | - | 48.45 | 24.57 | 24 | kg 新聞紙 |
| - | - | 60 | - | - | - | kg 木材 |
| - | - | - | 1.55 | 0.79 | - | kg 食塩 |
| - | - | - | - | 6.4 | - | kg ポリエチレン |
| - | - | - | - | - | 4 | kg 塩ビ |
| 54 | 55 | 60 | 50 | 31.76 | 28 | kg 総重量 |
| 焼却条件 | ||||||
| 36,000 | 64,000 | 280,000 | 31,000,000 | 25,000,000 | 51,000,000 | ng(塩素)/g |
| 457 | 653 | 456 | 510 | 473 | 456 | 平均焼却炉温度(℃) |
| 378 | 526 | 435 | 415 | 434 | 416 | 平均排煙温度(℃) |
| 4 | 4 | 3.67 | 3.9 | 3.33 | 3.33 | 焼却時間(hrs) |
| 13.5 | 12 | 15 | 12 | 9.5 | 8.4 | 焼却速度(kg/hr) |
| 87 | 1000 | 1090 | 1200 | 990 | 1500 | 排煙中のCO濃度(ppm)(#) |
| 583 | 243 | 252 | 214 | 180 | 131 | 総発熱量(Mcal) |
| 146 | 61 | 69 | 55 | 54 | 39 | 時間当たり発熱量(Mcal/hr) |
| 結 果 | ||||||
| 0.095 | 0.149 | 0.174 | 25.6 | 18.7 | 30.0 | ng(総PCDD量) /g (焼却物) |
| 0.651 | 0.783 | 1.99 | 77.8 | 83.2 | 117 | ng(総PCDF量) /g (焼却物) |
| 0.746 | 0.932 | 2.164 | 103.4 | 101.9 | 147 | ng(総PCDD/F量) /g (焼却物) (*) |
| 6.9 | 5.3 | 11.4 | 3.0 | 4.4 | 3.9 | PCDF/PCDD比率 |
| n.d. | n.d. | - | 23 | 59 | 640 | 平均mg(HCl)/m3(排煙) (#) |
全体的に見て、これら試験から何の結論も得られないことが、誰にでも断定出来るであろう。何故なら、ダイオキシン生成に大きな影響を与えると分かっている焼却条件が、一定に保たれていないからである。これと同じ事は、焼却温度でも、焼却時間でも、そしておそらく変動についても言えるであろう。何故なら、焼却物の負荷条件を変更すれば、炉内空気の流れに変化をもたらす可能性があるからである。
グリーンピースの見解:
多数の研究室---およびパイロット---規模の焼却炉の研究で、焼却物の塩素含量を減らすと、ダイオキシン生成量が減少する事が判明している。2000年に米国環境保護庁は、この様な研究の再検討で、これが真実である事を次の様に認めた。:
"実験データの再検討により、焼却物の塩素含量と…CDDsおよびCDFsの生成に関係がある事が明らかにされている。"
グリーンピースが削除した事実:
前述の記載がある事は事実であるが、塩素含量がどの位これら有機塩素化合物の生成に…他の要因と比較して…影響しているのかについて、グリーンピースは全く何も述べていない。研究室やパイロット規模の実験(
研究室での実験を参照して欲しい)でも判明している様に、相関関係を示しているデータでは、塩素含量が 12倍に増加した場合、PCDD/Fが2倍に増加している。他のデータでは、塩素含量が 10分の1に減少すると、PCDD/Fが30%減少している。これはひとつの研究室における、ひとつのダイオキシンサンプルの測定値変動(±30〜50%)、あるいは研究室間の測定値変動(最高5倍にもなる!)の、範囲内に入っている。あるいは、同一実験でのシリーズ間の変動(3〜10倍にもなる)の範囲内には、ずっと良く入っていると言える。
米国環境保護庁(USEPA)はまた、大規模焼却炉について次の様に述べている:
この後者が、ダイオキシン排出量が大きく増加する焼却方法であり、それは次のページ: 裏庭におけるドラム缶焼却.
で記述されている。
そしてUSEPAは、塩素含有量とダイオキシン排出量には関係が無いとした大規模焼却炉に関する米国機械工学会(ASME)の報告書に対するPat
Costnerの攻撃について次の様に述べている。
グリーンピースの見解:
…可塑剤を使ったリノリウムは、塩ビと可塑剤の機械的混合物よりも、大量のPCDD/PCDFsを排出する。
グリーンピースが削除した事実:
可塑剤を使ったリノリウム(塩素含量10分の数%?)と軟質塩ビの塩素含量(30%以上)を比較して、グリーンピースはこの見解を出したのだろうか???
グリーンピースの見解:
サンプルの塩素含量が多くなると、クロルフェノール(CP)[脚注:クロルフェノールはダイオキシンの前駆体]の排出量が多くなるが、その値は一定値に近づく。…塩酸を添加した場合、CP排出量は…塩酸添加量と比例して増加しないとしても…極めて規則的に増加している様である。また…コンポスト化可能廃棄物と塩ビを除去し…廃棄物の塩素含量を減らした場合、CP排出量も減少している。
グリーンピースが削除した事実:
KantersとLouwの文献を全部読めば、次の様にもっと多くの事が言える:塩ビを焼却物から全部除いても、CP生成総量には全く影響が無く、コンポスト化可能焼却物を完全に除いた場合も、CP生成総量は減っていない。これらふたつを全部除いた場合、つまり塩素含量が10分の1になった場合に、CP生成総量が30%減少している。この結果はCP測定の変動範囲内(30%)であり、一連の同一実験における変動範囲内(3倍)には十分入っている。
グリーンピースの見解:
"…PCDD/Fの生成量は、塩素ラジカルの増加に伴って、実際に増加する。…塩素ラジカルの存在は、塩素化とダイオキシンの生成に、重大な影響を及ぼす要因となる可能性が有る。"
グリーンピースが削除した事実:
塩素*ラジカル*は、焼却物中の塩素含量と全く関係が無く、また粒子状汚染物質あるいは排煙とも関係が無い。何故なら塩素ラジカルは、銅と酸素による塩素イオン(食塩あるいは塩酸)の触媒的酸化により生成するからである。従って銅および酸素が律速要因であり、塩素ではない。…
グリーンピースの見解:
"Wikstrom らは研究室での他の一連の実験(1996年)で、塩ビあるいは塩化カルシウムを添加する事により模擬廃棄物中の塩素含量を変化させ、第2図に示す様な結果を得た。"また"ダイオキシンの生成量が、焼却物中の塩素含量と相関関係がある事に同意している科学者の一部は、それでもなお、塩素含量を削減する方針に反対している。塩素含量の削減でダイオキシン生成が減少しても、他の要因が遥かに大きく影響していると、彼らは主張している。例えば(2001年に)、Wikstrom
とMarklundは塩素含量とダイオキシン生成量に正の相関がある事を認めているが、彼らは「PCDDs/Fs[ダイオキシン]生成量の変化に最も重要な変動要因は、焼却条件の変動であり、焼却物中の塩素含量の変動ではない。」と結論している。"
この後グリーンピースは、塩素含量が何故依然として重要であるかについて、お話にならない説明を続けている。
グリーンピースが削除した事実:
Wikstrom らは、グリーンピースが引用しているより遥かに多くの研究を行っている [64]。グリーンピースが示したグラフはもはや失効しているものである。何故ならWikstrom
らは、その後より多くの実験を行っているからである:
Wikstromらは、0.28から1.1%の塩素を含む8種の焼却物を使用し、13回の実験を行っている。その結果は、次の通りである:
Wikstroemらが行った更に多くの実験による、主要な結論:
ここで述べたデノボ合成とは、主として650℃以上で他のPAHと共に生成される、無塩素〜低塩素化炭素環の合成を言う。二次塩素化反応は、650℃以下で発生する。
グリーンピースの見解:
"ダイオキシン放出の遅れ…"メモリー効果"…は、例えば、Gullettら(2000年)、Blumenstockら(2000年)、Zimmermanら(2001年)、Hunsingerら(2000年)などの多くの報告があるが、ダイオキシンが焼却炉の煙突・ダクトなどの壁面に吸着され、それからゆっくりと放出される場合に発生する。その結果として、さもなければ塩素含量に明確に相関していたはずのダイオキシン排出量を、過小評価することになる。"
グリーンピースが削除した事実:
2001年11月18日から20日にBrugesで開催されたダイオキシン・セミナーで明確に述べられているように、"メモリー効果"は、特に焼却不調の場合に、確かに重要である。しかし、焼却不調の場合に壁面に吸着されるのは、すすとPAH'sである。更なる焼却で、すすとPAH'sから再びダイオキシンが生成する。つまり、炭素源の触媒による塩素化が再び起こるのである。これが意味するのは、このようなトラブルが起こった後、焼却実験の結論を出す前に、長い間待たねばならない事である。従ってメモリー効果は、焼却物中の塩素含量とは、全く関係が無い。
グリーンピースの見解:
"更に具体的な例では、米国EPAは回収鉛熔解炉からのダイオキシン排出量の減少を、その様な熔解炉で処理されている鉛蓄電池に使われていた、塩ビ製隔壁の段階的禁止の結果であると考えている。"
グリーンピースが削除した事実:
米国EPAは、回収鉛熔解炉からのダイオキシン排出量を、1987年に1g I-TEQ、1995年に1.63g I-TEQとしているが、この両方とも全く取るに足らない値である(しかし排出量が増加しているのは、塩ビを使わなくなったためか?)。この数値は、国連環境計画(UNEP)の
世界規模のダイオキシン排出明細書 [60].から得たものである。
グリーンピースの見解:
"例えばGullett(2000年)らは、模擬家庭廃棄物に種々の量の塩ビを添加し、ドラム缶内や、ある場合には廃棄物を積み上げたままで焼却する、一連の実験を行った。図4に示す様に、塩ビ含量が減少するとダイオキシンの生成が減っている。廃棄物を積み上げたままで焼却したひとつの実験では、ドラム缶内焼却よりも、ダイオキシンの生成がかなり少ない事が認められた。"
グリーンピースが削除した事実:
後者の実験は、焼却物の組成よりも、焼却条件が遥かに重要である事を確認したものである。
更にグリーンピースが削除している実験には、食塩を廃棄物に添加した実験(ダイオキシンが増加)、廃棄物に水を加えた実験(ダイオキシンが増加)、銅を加えた実験(ダイオキシンが増加)、廃棄物を圧縮した実験(ダイオキシンが増加)などがある
更にGullettらは、ひとつあるいは複数の因子について、ダイオキシン生成との相関関係を求めようとした。その解析結果で、塩素、塩ビ、あるいは塩酸を除いても、高い相関を示す因子が認められたのである。どんな解析でも変わる事無く相関を示した因子は、銅含量、焼却時間および/あるいは焼却温度であった。クロロフィルのページにある裏庭でのドラム缶焼却 に示された結果を参照して欲しい。
この結果により、この様な焼却条件で塩ビ含量/塩素含量/水分/圧縮率が大きい場合に、ダイオキシン排出量が多くなる理由---これら全ての因子が焼却を遅らせ、焼却温度および/あるいは焼却時間を変更するため、ダイオキシン排出量が増加する---が、説明出来ると判るはずである。しかしこのダイオキシン増加の影響は、焼却温度が下がった事で、発ガン物質であるVOC's、ベンゼン、およびPAH'sが減少したため、完全に帳消しなっている事は明らかである。
ダイオキシンだけではなく、PM、ベンゼン、VOC's、PAH's等も測定されているのは、Lemieuxら.[54]による一連の実験 だけである。その実験から、塩ビ含量が多い場合には、ベンゼン、VOC、PAHの排出量が少なくなる事が分かる。TCDDの発ガン性は、(ラットの一部の系統で)ベンツピレン(BaP)の20分の1であるため、塩ビ含量が多い焼却物からの排煙は、塩ビ含量が少ない場合の排煙よりも、(これら汚染物質が体内に入った場合)発ガン性が低くなる。何故なら、粒子状汚染物質(PM)、PAH、およびベンゼンの排出量が少ないからである。残念ながらVOCおよびPAHの排出量は、このGullettらの新しい一連の実験では、測定されていない。
しかしながらこれは、Wikstromらにより、次の様に確認されている [64]:
従って、塩ビを代替プラスチックで置き換える事は、最悪の焼却条件でのダイオキシン排出量を減らす事が出来るが、同一条件下で(既に3〜4桁多い)PAH排出量を更に増加させる事になる。ダイオキシンはDNAを損傷を与えず、極端な濃度でのみ発ガンプロモーターとなる。PAHは分解して、DNAに損傷を与える酸化物質となるため、発ガンイニシエーターである。全く何と言う選択なのか!予防の原則を適用して、塩ビの代替を禁止すべきなのではないか?しかしそんな選択をする必要は無い:裏庭での焼却を禁止し、廃棄物は全て最新式の焼却炉で処理させれば良い(Flanders地方で政府は、廃棄物をドラム缶、露天、あるいは暖炉で燃やさないよう、国民を教育するキャンペーンを始めたところである)。この処置により、汚染物質の排出量は30,000から120,000分の1に減少する。全ての汚染物質が減少し、しかも何を焼却してもそうなるのである。
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これ迄と同様にグリーンピースは、これら文献のうち、彼らの偏見に満ちた主張を支持する部分だけを引用している。それが、彼らのいつもの戦略であり、政治的戦略であって(彼らが卓越している、世論操作の科学を除いて)科学とは全く無関係なものである。グリーンピースのPat Costnerのこの報告は、ここに紹介した幾つかの文献を読んでいるが、私たちが紹介した情報を---私たちの意見では故意に---削除したものであり、明らかにこの様なケースの再犯に当たる。グリーンピースが勝手に削除した例が更に発見され次第、このページは、更新される予定である。
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このページは、クロロフィルのレベル 2にあります。
創 設:2001年11月22日
最新更新:2001年12月1日